Team Kyosho (ひろさか)活動レポート


 活動レポート NO−13

 2008/01/10〜15日  デンマークにてDHIカップに参加
 
 1月10日(木)
 今回のフライトは、スカンジナビアン航空12:30成田発、
 約11時間の飛行。東京の渋滞を考慮して朝6時に自宅を
 出発。こんな時に限って全く渋滞無し。9時に空港へ到着し
 チェックイン、早くも長い行列が...こんな時期に寒いデンマーク
 に行く人もいるのだなあ〜順番が来てチェックイン、受け付け嬢
 が何やら電話をしている、何か不備があったのか? 暫くして、
 お客様大変申し訳けないのですが、本日エコノミーが満席で
 ビジネスに行って頂けますか? 勿論OKです! ラッキー、
 長旅ではほんとに助かる、今回は運が良い。ラウンジで朝食を
 取り、ゆっくりとくつろぎ早々に搭乗する。新聞を読んでいると、
 急に、おはようございます! ?? 
 誰? びっくりして見ると、なんと原選手、僕となりの席です。
 えっ? でもエコノミーからまわされました。私も同じだよ、お互い
 ラッキーだったね。

 昔話等をしながら、殆どベッドに近いソファーでぐっすりと眠れ
 時間を感じ無く早くコペンハーゲンに到着。

 税関を出ると、ニコラスがお待ちかね。彼のフライトは到着が早く
 早朝に着いた為に、10時間以上も空港で待っていた。遅くて
 ごめん!原君達は、マークやアンディ達が出迎えていた。

 私達はレンタカーでODENSEに向う約200km弱のドライブ。
 事前に地図をゲットし、ニコラスにナビを頼むが頼りない。
 いきなり駐車場の中を迷走出口が分からない。駐車場の中を
 グルグルドライブ、やっと表に出たが...

 おい、どっちへ行くの?分かりません! とにかくE−20を探せ。
 いきなり高速だから猶予が無い、えーい、たぶんこっちの方向
 だろう、大丈夫ですか?
 分からん、たぶん方向的にはこっちだからいいだろう。しばらく
 するとE20のサイン良かった、これで合っていた。このまま暫く
 つっぱしりODENSEに近づけば注意をすれば良い。

 気が付くと、この車にはナビが付いている。ニコラス、セット出来る
 か? やってみます。いろいろと操作する事20分あまり、出来
 ました、これで良いとおもいます。 うっ? なんであと350kmも
 あるの? そんなに遠くはないよ。350kmも走ったら他の国へ
 行ってしまうかも?(笑) そうですね? ちょっと間違ったかも、
 もう一度やって見ます。  でも結果は同じ...

 もういいよ、そのうちに着いてしまうよ。大きな橋を渡ればたぶん
 すぐだから地図を良く見て注意をする事。空港を出て約1時間
 半海を渡る長い橋、夜だから何も見えないけれど、昼間だと
 きっときれいだろうな。

 そろそろ、高速を降りると思うけど、分かる? ???。 
 おいおい、どこへ行くのか分かっているのか? 分かりません。 
 たぶんもう近くだと思うけど..とにかく一度高速を降りて地図を
 チェックしよう。高速を降りて車をストップし位置を確認する。
 ここどこか分かる? 分かりません。たしか9号と書いてあったよ。
 地図で9号を探してみよう。地図をみるとなんとバッチリ会場の
 前の通りだ。もうすぐそこの筈だ、それから5分無事会場に到着
 ニコラスは全く分かっていない。彼には地図等なんの役にも立た
 ない事が良く分かった。無理も無い自分で地図を見ながら
 何処かへ行った事等無いと思う。あてにした私が間違っていた。

 ホテルは会場にに隣接していてとても便利だ。会場へ行くと
 コースの設営の真っ最中。あすは練習が4ラウンドで、早くも
 予選が1回行われる。

 今回は初のカーペットレース、そしてメンバー等を考えると、
 成績はあまり期待は出来ないが、久々のレースでどんなレース
 が出来るのか? 楽しみだ。


 今回のフライトは、スカンジナビアン航空


 午後8時 コース設営の最中


 十分なピットスペース



 1月11日(金)

 朝6時40分ホテルを出発、約200m、3分で会場に到着。
 7時オープンまずはピット確保より始める。殆どのピットが予約済
 み、隅の方で良い場所を見つける。しかし皆の出足は遅い、
 今日は練習からなのでゆっくりとしているのだろう。9時より
 ストッククラス(19T)より開始される。今回は19Tが13ヒート
 モディファイが8ヒートで約200名の選手が参加。大変ににぎや
 かで衰退とは思えない。

 今回は、ニコラスが自分でセットした車と私がセットした車を2台
 用意した。そしてそれを走り比べて良い方を使用する事とした。
 私は当然自分でセットした方が良いに決っていると思っていたが
 ニコラスも自分なりにホームコースでセットをしたようでかなり自信
 を持っていたが、それがいかに的を外しているか、を分からせる為
 に、あえて両方を比較させる事とした。

 私は、最近では殆どカーペットのレース等していないが、以前の
 セットを思い出しながら、予測でカーペットセッティングをした。
 大きな違いはサスマウントの高さだ。カーペットでは、グリップが
 上がって来るとハイサイドの危険がある為にサスマウントを低く
 セットするのが常だった。そしてスプリングも硬いものを使用する
 事が多かったが今回はあえて少し柔らかめのものをセットした。

 練習は4回行われ、その後に予選1ラウンドが行われる。
 予選は合計5回で世界戦と同じポイント制となっている。

 練習1ラウンドはまずはニコラス車からテストする。カーペットも
 新品の為、全くグリップをしない。しかしローグリップの方が車の
 状態は良く分かる。ニコラス車はわたしの想像よりは良かったが、
 リアがグリップせず明らかに曲り過ぎだ、非常に操縦が難しそう。

 2ラウンドは、パパセッティングカー、明らかによく走る。リアー
 グリップが少し低く特性的には良く似ているが、車のころがりが
 全く違う。走行後、どちらが良い? パパの方が良いです。
 OK! 話は簡単、これを煮詰めていこう。

 フロントが曲がり過ぎ、そしてロールも大きくてリアがリフト寸前の
 為、フロントスプリングをを少し硬く、そしてスタビも硬くしよう。
 しかしこれでは余計に曲り過ぎる為にダンパーの取り付け角を
 2段階寝かせる、そしてフロントのグリップ剤を80%にする。
 
 3ラウンド、かなり良くなったがまだリアのグリップが少し低い、
 ウイングの取り付け位置を少し後ろにしよう。そして前の車高を
 少し上げて前後ほぼ平行とする。路面グリップもだんだんと良く
 なり、ラップタイムも上がって来た。かなり良くなったが、これでもう
 少しリアのグリップが上がればもっと走りやすくなるのだが...

 練習の最後一回、一度リアのサスマウントを上げてみよう。
 アスファルトではグリップが上がるのだがカーペットではどうかな?
 もう最後の練習なのでしっかりとタイムも計測し、レースのつもり
 でノーミスで走行する事。ここはコーナーは殆どパイロンで作られ
 ている。しかもこのパイロンは乗り上げるとすぐに転倒する危険な
 パイロンだ。ニコラスが苦手としているパイロンだ、しかし今までの
 練習をみていると、殆どパイロンには乗り上げないしクラッシュも
 殆どしていない。明らかに進歩の跡は見られる。

 練習最終ラウンドが開始、なぜかスピードが出ないしリアグリップ
 も今ひとつ。やはりサスマウントの位置は悪かった様だ。

 次はもう予選第1ラウンド、サスマウントを元に戻し、駆動系を
 点検する。モーターをはずすとかなり回転が重い。駆動系を
 すべて分解して点検をする。なんと、カーペットの毛があちこちに
 まとわり付いて又ベルトとプーリーの間にしっかりとプレスをされ
 ベルトの回転が相当に重くなっていた。

 いよいよ予選開始、マシンは完璧ではないがまあまあの所まで
 はいっていると思う、少し走り辛いかもしれないが、とにかく慎重
 にノーミスで走る事。

 彼のヒートは2ヒートで周りに早い選手がいない、多くの有力
 選手は最終2ラウンドに集められている。このヒートで接戦をして
 いるようではダメ。

 レースがスタート、今までと見違える様な走りを見せる。ちょっと
 辛そうだが上手くコントロールしている。ラップも速い、勿論トップ
 ドライバー達には及ばないが、自己ベストで走行を続ける、
 得意?のパイロン踏みも殆ど無いこの組ではダントツの速さで
 トップを快走、アナウンスが盛り上げてくれる為に他のドライバー
 も大きく道を譲ってくれて、非常に楽な走行。
 小さなミスは数回あったが、大きなタイムロスは無く、まず1ラウ
 ンドは無難に終了。しかしヨーロッパでのカーペットレースの
 レベルは非常に高い。私達のお馴染みの有名選手は勿論の事
 全く名前も知らないドライバーも非常に速い。ヒートが進むに
 つれどんどんと記録が更新されて行く。

 最終の2ヒートでは、さすがにトップドライバー達が集結している
 だけあって、大接戦で素晴らしい記録をだして来た。まさにコン
 マ秒を争う大接戦で、この様な接戦をみるのは久しぶりで、私
 自身も興奮した。

 しかし、ニコラスにはかなりの衝撃だった様だ。レース前には
 ひょっとしたらAメインにも入ることが出来るのでは?と思っていた
 のだろう。しかし路面のグリップの上昇と同時にどんどんとタイム
 を上げてくる姿に圧倒され、もうすでに戦意を喪失してしまった
 様だ。ニコラスよりコンマ5秒以上速いラップでしかもノーミスで
 走行する。これでは到底手が届かない。

 私は事前に何度もこの事を話をしていたが、実際に目で見る
 までは信じられ無かったのだろう。

 ニコラス、今君の状態ではとてもまだまだ彼等と戦える状態では
 無いよ。現在での順位は28位、頑張ればBメインまでは可能
 だと思う。このメンバーの中で20位以内に入れれば上出来だと
 思う。彼等の走りをしっかりと勉強し少しずつ順位を上げて
 いこう。いずれ対等に戦える事を夢に見て...
 明日もがんばろう!

 約200名の選手が参加、ピットスペースは十分


 練習ヒートが開始、静かな幕開け


 今回はテスト時間が無い為に、2台の車を用意


 最終ヒートには、お馴染みの顔が...



 1月12日(土)予選日
 

 今日はピットも確保されている為に、我々のスタートは10時
 過ぎの為にゆっくりと8時に出発、荷物はコースに置いて置ける
 為に、殆ど手ぶらで歩いてコースに向う。

 今日は、予選の2ラウンドから4回行われ、上位の3ラウンドの
 ポイント合計で順位が決る。

 予選第2ラウンド、路面グリップも少しずつ上がって来たのか、
 昨日より一段と速いラップで走行を続ける、ミスも殆ど無い、
 これは良いタイムが記録出来そうと思ったが、ゴール寸前の
 コーナーで小さなミスがあり少しのロスタイム。
 しかし、昨日の記録は、18周の12秒だったが、大きく更新して
 7秒まで上げて来た。まあまあの記録。しかしAメインドライバー
 達は、19周に入るだろう。

 19周の平均ラップは、16.6秒、彼のベストは16.6秒これ
 では19周には届かない。

 その後のトップドライバー達はやはり路面のグリップの上昇により
 どんどんとラップを上げ、ぞくぞくと19周をマークする選手が出て
 くる。とても手が届く相手では無い。改めて選手の層の深さ、
 レベルの高さを認識させられた。日本選手の原、足立選手も
 苦戦を強いられている。

 2ラウンドの結果はニコラスは暫定で28位、あと3回の内に1回
 タイムを出せばもう少し順位を上げられるかも知れない。

 走りも悪く無いし、車も悪く無いが曲り方が何となくぎくしゃくして
 いる。そしてまだ少し曲がり過ぎの感がある。

 最終ヒートで素晴らしい記録を出した選手がいた、19周の
 シングル。誰? ニコラスに問うと、STEEN選手ですよ、
 KYOSHOの..昨日一緒に食事をした...えっそうか? 
 彼は地元の選手で私は知らなかったが速い選手だそうだ。
 これは良いチャンスだ、車を見せてもらいに行こう。

 少し車を見せて貰うと、セッティングは大きく変わらないが、
 サスがかなり柔らかいそしてアッカーマンが非常に少ないのが
 目に付いた。私も少し不思議に思っていたのだが、何故か私の
 車はアッカーマンが非常にきつく付いている。組み立てた時は
 一番弱くした筈なのに...ニコラス車と比較をすると、やはり
 何かが違う、よくよく点検をすると、何とタイロッドワイパーの長さ
 が全く違う事に気が付いた。なんで? よく見るとワイパーは
 2種類あったのだ。これは大失敗、気が付かなかった。私の
 勉強不足だった。直ぐにノーマルに交換。

 そしてここまでセットに苦しんでいる原選手がピットに来て、色々
 と話をしたが、彼は過去このレースで2連勝をしているが、今回
 はタイヤ等が変わった為か過去のデータが全く活かせない、
 そしてアスファルトのセットの逆の結果が出ると教えてくれた。
 これは大変参考になる、私もどうもおかしいとは思っていた。
 そうか、逆をやれば良いのかも知れない。そこでリアーのグリップ
 を上げたいのでI アームの内側の取り付け位置を上げていった
 のだが、これを一気に2mm下げてみる事とした。

 第3ラウンド、今までとは見違える様な走りとなった、リアーは
 しっかりとグリップしコーナーも非常にスムース、見た目には速く
 見えないがラップは速い、Aメインドライバーに引けをとらない
 ラップが出せる、しかし悲しいかなまだまだラップタイムを揃えられ
 ない、良いラップが出ると次は少し遅くなったりする。でもこのまま
 行けばかなり良い記録が出そうだ。18周の2、3秒は出るだろう
 がしか〜し..ここでまた悪い病気が..3分過ぎあせったのか?
 パイロンに乗り転倒。
 こうなると、彼の弱点で気持ちの切り返しが出来ない。何度も
 転倒、挙句の果てがバッテリーがずれてリタイアとなってしまった。
 惜しいなあ〜でも車やフィーリングは非常に良くなった。次に
 頑張ろう。

 第4ラウンド、セットは変えずにそのままで行くが、路面グリップが
 上がり、ハイサイドの危険性が出て来た為に、フロントの塗り巾
 を少し少なくして80%位にしよう。
 スタートして1周目から早いラップをたたき出す。16秒の前半で
 走行する。アナウンスが予想ゴールタイムが19周とさかんに囃し
 立てる、大変良い走りだが周を重ねる毎にフロントのグリップが
 増してくる、もうハイサイド寸前、危ないなあ〜と思っていたら、
 やはりハイサイド転倒! 運悪くガードに接触しIアームが脱落
 無念のリタイア。3分までは確実に19周ペースだったのに...

 例によってニコラスは相当に落ち込んだ。私は始めてニコラスに
 叱った。途中から車が曲がる様になり、ハイサイドの危険性が
 出て来たのが分かっただろう、なんでペースを落とさなかった
 のか? そのままイケイケでパワーをかければ転倒するのは
 当たり前だ。これは前回の谷田部アリーナのレースでも同じ
 失敗をした。少しパワーを落として転倒を防ぐのも非常に大切
 なテクニックだ。

 残された最後の一回、ニコラスは、Fスプリングを柔らかくしては
 どうですか?私もそれは考えていたが、こ場ではやるべきでは
 無いと思う。データーが何も無いし、スプリングだけを交換して、
 他の何処に影響が出るか?全く予想が付かない、車バランスは
 今は非常に良い。このバランスが崩れると全くタイムが出せなく
 なる恐れもある。勿論Aメインの可能性等は全く無いが、まだ
 レースは終わっていない。ここでギャンブルはするべきでは無い。
 もしこれがTQを争う様な事になれば、絶対にギャンブルはしない。

 フロントの塗り巾を半分に減らし、フロントのIアーム位置を少し
 さげて挑戦して見よう。これは大きく変化はしないから、また
 トラクションの塗り巾を少なくすると最初はグリップが低いが途中
 からは、またグリップ上がってくる、これをいかに押さえるか? 
 がテクニックだ。

 最終ラウンドがスタート、やはり少しアンダーだがタイムは速い、
 良いラップで走行するが、早くも5周目位から車が曲がりだした。
 しかしニコラスは相変わらずイケイケ。そして案の定転倒、また
 転倒、結局ゴールはしたもののタイムは見るまでも無い。

 無言で半泣きのニコラス、私もあえて何も言わなかった。予選が
 終わって、いい勉強が出来ただろ? レースは車で走るのでは
 無く操縦のテクニックだよ!大きな課題がまた一つ出来た。

 不本意だが結果は見るまでも無い、たぶんEメイン位だろう。
 でも明日は全てのメインは3回の決勝がある、ここでは色々と
 テストをしてみよう。

 毎日どんよりとした天気、とても寒い。


 喫煙場所は外、寒い為に喫煙量は減る。良いのか悪いのか?


 会場内にスナックが3箇所もある。近くに店等が無く大変助かる。


 ショップ等の展示ブースが設けられ、デモ等が行われている。


 会場4箇所に設置された、大きなディスプレイには、レースの
 進行結果等が掲示され、大変便利。



 モディファイ、Aファイナリスト



 1月13日(日)決勝日

 もう早くも今日は決勝日、すべて合わせてもまだ9回しか走行
 していない。決勝と言っても、Eメインではねえ〜。しかし競り
 合いをあまりした事が無いニコラスにとっては非常良いチャンス。
 みんな同じ位のレベルのドライバーと競り合う事は、ローカル
 レースのAメインだと思えば良い。幸いにもすべてのメインは
 3ラウンドで行われる。

 予選で出来なかったテストをしながら、競り合いの練習をする
 事とする。まず1ラウンドはフロントに新品のタイヤを使用する、
 昨日まではオーバーグリップでハイサイドをおこしていたが、
 これで大丈夫だろう。しかしどの程度グリップが落ちるか? は
 走って見ないと分からない。十分に気をつける事。

 スタートは6番手、どこまで順位があげられるか? きれいな
 スタートだが、明らかにアンダー、もう少し我慢すれば曲がって
 来る筈だが...結構強引に走行させる、1分過ぎ車が曲がり
 だした。途端にラップも早くなる、自己ベストのラップを出し、
 どんどんと順位を上げるが、追い越しは下手。 軽い接触等
 でまた順位を落とす。こんな繰り返しで結局は5位ゴール。
 まあ、大きなミスは無かったので善しとしよう。

 次は、かつてのチームメイト、トニー・ライナードが教えてくれた、
 Iアームの位置をうんと上げるのをやってみよう。通常は1、2
 mmで調整しているが、5mm以上上げると良いようだ。
 そういえば昔はカーペットではかなり上げていた事を思い出した。
 これも結果は分からないが出たとこ勝負で、どんな状態になっても
 コントロールをする事! これが重要な練習だ。危ないと思った
 時はペースを落とす事。

 第2ラウンドも同じ様な展開、結構競り合いがあるが負けては
 いない。しかしちょっと強引過ぎる事もある。パスを焦りすぎて
 接触したり、パイロンに接触する事もある。幸いにも大事に
 至らず、今回は4位でゴール。少しはレースらしくなって来た。

 今日は決勝日なのでインターバルが長く、ラウンド間は3時間
 くらいある。Aメイン決勝前には、場内のライトを暗くして音楽を
 流しスポットライトを当て選手紹介をする、心憎い演出がされ
 場内を盛り上げる。一般観客も有料にも拘わらず多くの観戦
 者が来て、Aメインのみならず全てのメインで大きな拍手等が
 ありレースが盛り上がる。

 ニコラスは、内気な為あまり人とは話をしないが、同年代や
 小さな子供達とは気が合うようだ。隣のピットの親子連れと
 仲良くなった。まだ小学生位の子だが親子でレースに参加して
 いる。この子が大きなパソコンを持ち込み、インターバルにゲーム
 を楽しんでいる。ゲーム好きのニコラスは、すぐに誘いに乗って
 ゲームに熱中してしまった。

 私はわざと皆に聞こえる様に大きな声でニコラスを叱った。
 ニコラス! 何をしているんだ?今はまだレース中だ、ゲーム等を
 している時では無い、KYOSHOは、お前にゲームをさせる為に
 高いお金を出しているのでは無いぞ。我々は遊びに来ているの
 ではない。お前もプロを目指すなら少しはわきまえろ! 
 日本に帰って結果を報告しなければならない私の身にもなって
 なってみろ。ニコラスをはじめ周りの皆は一瞬びっくりした様だ。

 私はとなりのお父さんに、すみません!彼はまだ自分の立場を
 良く理解していない様なので...

 ニコラスは素直に、ゴメンナサイ。OK、分かれば良いよ。何も
 する事が無ければコースへ行って選手達の走りを観察して
 いれば良い。上手な選手の走りを見る事はとても参考になるし。
 また下位の選手の走りを見ることも大変重要だ。そして、自分
 がアドバイスをするとすれば何処を指摘するか?等を考えれば
 自分に当てはめる事も出来る。多くのレースをみれば、追い抜く
 ポイントや危険な場所、色々な事が分かる筈だ。

 普段は殆ど人の走りを見ることが少ない筈大変良い機会だ。
 走行させる事だけが練習では無いよ。 コースへ行ってイメージ
 トレーニングをして来い!

 バカ正直?なニコラスは、2時間位ピットに戻って来なかった。

 最後のラウンドは最後の予定のテストでリアのIアーム位置を
 フロントと同じ様に、約6mm位上げて見る事とした。
 私はレースの間に皆の車を色々と観察をして回った。みんな
 夫々にセットは違うが、殆どの選手に共通して言えるセットは、
 アーム、Iアームの角度だった。

 いよいよ今回最後のレース、ニコラスは何も言わないが何となく
 気合を感じた。スタート前、私はわざとスイッチを入れるタイミング
 を遅らせ、皆がスタートラインに着くのを待った。これはブラシレス
 では殆どの車がファンを使用している。当然スイッチを入れると
 ファンが回る、2分間もファンをまわしていれば、初期パワーに
 影響する。

 スタート、凄い勢いで飛び出し1コーナーでは、3番までジャンプ
 アップ、1コーナーの混戦を上手くすり抜けた。きれいな隊列で
 レースが進行。ほぼ等間隔でレースが進む。車も非常に安定
 している。パイロンに乗るなよ!
 私は心の中で叫んだ。中盤よりレースが動き出した。ニコラスが
 前車に迫るニコラスの方が明らかにラップは速いが抜くポイントが
 無い。テールツーノーズ、サイドバイサイドのデッドヒートをする。
 観客も沸くこの様なケース必ずどちらかがミスをするパターン、
 耐えられなかったのは相手だった。次は前を走るトップの車を追う
 少しずつ距離を詰め背後に迫り同じ様にプレッシャーをかける。
 ここでも、精神的にもニコラスは負けていなかった、じっと我慢を
 しながら、焦らず相手にプレッシャーをかける。ここでもデッド
 ヒートを制しついにトップに立った。

 しかし今度は、また他の車が猛烈な追い上げをみせ、ニコラスの
 背後に迫る。ニコラスは必死で逃げるが、コーナー毎にプレッ
 シャーを掛けられる。残り1分たぶん飛んでいくだろうな。と思って
 いたが、予想に反して? 耐えている。

 最終ラップ、あせった後続車がクラッシュで自滅。ゆうゆうトップ
 ゴールとなった。大きな観客の拍手に迎えられ最後のレースを
 終了した。今回はあまり良い所が無かったが最後の最後で非常
 に良いレースを見せてくれた。メインは下位だがあのプレッシャー
 に耐えこれだけのレースが出来れば、今は上出来だ。私は満足
 した。私は今回始めてニコラスを褒めた。いいレースだったよ。
 ニコラスは照れくさそうに、そうですかあ〜? と始めて笑顔が
 見えた。

 今回もいろいろと良い勉強をした。次は2月のタイでのTITCに
 参加予定。今年はタイでの世界選手権の開催が予定される為
 多くのトップドライバーの参加が予定されている。またとない
 チャンスだ、がんばろう!

 入場、観戦は有料にもかかわらず、多くの観客が...


 展示ブースや、有料体験コーナーは大変人気。


 優勝者に用意された大きなトロフィー。こんなの貰ったら持って
 帰るのに苦労するな。でもそんな心配は今は無い...(笑)



 Aメイン決勝前、多くの観客が注目


 知る人ぞ知る、往年の名車。 日の丸が嬉しい。


 スタッフの一人がわざわざ見せに来てくれた。懐かしいだろう?
 はい、私の一番記憶に残っている車です。本物は今は
 シュマッカーの博物館に展示してあるはずです。