Team Kyosho (ひろさか)活動レポート

 活動レポート NO−15

 6月14日マニラにて、HIROSAKAプロデュースとして、フィリピン
 インビテーショナルレースが開催されました。


 マニラでのレース等の立役者、高谷氏と...
 

 これはフィリピンの有志やコースオーナー達が、将来フィリピンにて
 ビッグイベントを開催したいという意向があり、マニラ在住の
 高谷(タカヤ)氏の協力の下、私もオーガナイズ等の指導を
 兼ねて開催したもので、今回は第一回ですが、今後は定期的
 に回を重ねて行く予定です。今回はまずは招待選手として
 ニコラス選手が参加をする事となりました。

 6月12日(木)
 ニコラスは昼に到着の便にてシンガポールよりマニラへ向う、
 私は今回初の中国人マネジャーを同行する為に、中国経由で
 マニラへ向う為に夕方着の便、ニコラスは高谷氏の迎えを受け、
 我々が到着までマニラ観光との事。夕方に空港にて合流する。

 今回は、いつも私を援助してくれる中国人のマネジャー伍麗華
 をレースのヘルパーとして起用、彼女は現在学生にて英語、
 日本語を学んでいる。
 勿論中国語は殆どの方言も話せる、ニコラスは勿論中国語が
 母国語の為話が出来る。今までは私達の会話は英語だったが
 私の英語では十分に意思を伝える事は難しいが今回は通訳が
 いる為に良いコミュニケーションが取れるだろう。

 今日はもう遅い為に、食事を済ませホテルへ...明日から
 練習を開始する。しかし、今回は出発直前に連絡があり、
 15日(日)に予定されていた、レースを急遽14日に変更を
 して欲しいとの依頼があった。その為に練習は明日の一日しか
 無い。明日は何時から始める? ニコラスは、8時頃から始め
 たいですね。 OKでは7時30分出発。

 6月13日(金)
 13日の金曜日...何かあまり良い日では無さそう。
 7時より朝食を済ませコースへ向う、運転手付きの車がお迎え
 に来てくれる、なんとこの車は防弾ガラス付きのミニバン、
 そんなに危険なところなの? 
 いやいやこれはあくまで安全の為の予防です...高谷氏曰く。

 8時過ぎコースへ到着、まだ誰も居ない。コースは通常は10時
 にオープンとの事、今回は特別に早く開けて貰った。
 コースの入り口には小銃を持ったガードマンがいる。

 早速準備に取り掛かる。今回も、やはりニコラスメークの車と
 私の製作した車の2台を用意した。殆ど同じ仕様の車だ。
 ただ私の車は新しいけれどメカ類が搭載されていない。
 今回は時間があまりない為に、とりあえず直ぐに走行出来る
 ニコラス車を使用する事にした。

 車を点検すると、殆ど問題は無い、以前は少し目を離すと
 大きくセッティング等を変化させていたが、今では殆ど大きな
 変更はしていない。良い傾向だ。
 少し気になったのは、前後のスプリングで後ろが硬く、前が柔ら
 かい。これでは多分アンダーだろう。

 まずはテスト走行開始。路面にホコリ等が多く非常にグリップが
 悪い。これではどうしようも無い、とりあえず暫くは走りこんで
 ラインを掃除する事から始めよう。
 これも非常に有効な練習となる。グリップが悪くドリフト状態だが
 これできっちりとラインを決めて走行ラインを走ることでグリップが
 どんどん上がって来る。2、3パック走行させるともう殆ど滑らなく
 なって来た、また他のドライバー達も走行を始めた為に急速に
 グリップが上がり始める。

 車のセットはなかなか良さそうだ。ラップタイムは15秒前後みんな
 どの位で走行させているの?そうですね、このレイアウトでは 
 速い選手は13秒台に入ります。それは速い! 
 あと2秒近く上げなければならない。ちょっとこれは不可能に
 思えた。ニコラスもかなりプレッシャーを感じていた。

 スプリング等の少しのセットの変更をしながら走行を続ける。
 今回はセットよりも、走行を重視する。久々の走行を見るが
 以前よりも一段と安定した走行が出来る様になった。
 ストレートからのタイトコーナー、以前なら必ずオーバーランを
 していたのに今回はきっちりとインを押さえて来る。
 しかしあまりタイムは速くない。ニコラスは、どこが悪いのですか?
 と尋ねる。今回は通訳がいる為に微妙なライン取りや、走法を
 詳細に説明する事が出来る。ニコラスとリリー(通訳)とのコンビ
 もばっちり、普段は無口なニコラスだが今回は非常に良く
 しゃべる。やはり言葉は大切だ...と痛感した。

 まだまだコーナーが甘い! もっとパイロンに近づけ。
 そしてパイロンは踏むな。いつも言っている事だが、今回は、
 それが出来る。

 地元のトップレーサー達も走行をするが、やはり速い。路面が
 完全では無いが13秒台は出ないが14秒の前半で走行する。
 ニコラスは14秒の後半。少し遅い。しかし気が付いたのだが
 彼等は前半は速いが後半にはラップタイムが遅くなってくる。
 原因は良く分からないが、殆どの選手がポリマーを使っている。
 その所為かも知れない。ニコラスは最初から最後までラップタイム
 は変わらない。トータルではほぼ同じ位の所まで行っていると
 思う。 あとはレースの展開次第だな。今回は、タイヤも上手く
 いっている様子。新品でも2回目でも殆ど同じ様にグリップ
 させている。しかしレースでは新品で無い方が安心出来る。

 今日は全部で15、6回の走行、まずまずの仕上がりだと思う。
 明日はもうレースが開始される。予選は4回、決勝は3回との
 事結構忙しいレースとなりそう。

 さあ、久しぶりのレース、がんばろう!
 
 
 マシンを点検、整備、う〜んなかなか良く出来ているよ。
 

 大きく変更されたレイアウト、かなりの高速コース
 

 選手も増えて来た。皆調整を始める。
 


 6月14日(土)

 レースが一日繰り上げられた為に、早くも今日はレースとなった。
 まだ完璧な調整は出来ていないが、まあ後はレースをやりながら
 考えて行こう。

 参加者も50名弱の為、進行も比較的ゆっくりと進む。
 レースは、まずはストッククラスより始まる。ほぼ密閉された
 インドアコースだがやはり朝はグリップが低い少しドリフト状態だ。
 しかし今回のルールは世界戦方式のポイント制の為に、全ての
 ラウンドで順位を狙わなければならない。

 予選第1ラウンド、やはり地元の有力選手は状況を良く把握
 している。いきなり良いタイムを出してくる。ニコラスは早くも
 プレッシャーを感じている。
 最終ヒートに組まれたニコラスは、無難に走行するがラップが
 上がらない、自分でも分かっているのか、少し走りに焦りが見え
 小さなミスをする。そしてゴール。順位は総合3位。うーん、
 まあまあだけれど、もう少しタイムは上げられる筈。
 昨日のタイムからすると、0.5秒位遅い。
 
 ニコラスは、どうもタイヤのグリップが低い、次はインナーを硬い
 ものに変えてみます。昨日はこちらの方が良かった様に思えます。

 第2ラウンドが、スタート今度はいきなりかなり速いラップで走行
 する。路面グリップも上がって来た所為か、殆ど滑らず前回より
 0.5秒位速いラップで走行する。これは良い、このままミスが
 無ければかなりのタイムが期待出来そう。
 殆どミスも無く走行終了。トップタイムをマークした。ニコラスは、
 はにかみながら操縦台から降りてきた。何秒でしたか? 
 良く分からないけれど多分トップだろう。今の走行はほぼ完璧に
 近い。ラップタイムも非常に安定し最後まで殆どラップタイムが
 変わらなかった。

 次からは組み合わせが変わり上位選手の直接対決となる。
 スタートは1番これは決勝レースに大変有効となる。
 しかしまずはTQを取る事。勿論言うまでも無いが決勝のグリッド
 は非常に大切だ。こんな事を言うのは始めてだ。

 第3ラウンド、このラウンドでトップゴールをすれば、TQはかなり
 近くなる。まずはここでは無理をせずに相手を良く見てレースを
 進める事、今までの経過をみていると彼等は前半は速いけれど  2分を過ぎるとラップが落ちてくる、もし最初に先行されても、
 焦らずにマイペースで走行すれば、トータルでは早くなると思う。

 レースがスタート、トップの4名程はかなり綺麗な隊列をつくり
 走行する。ラップも殆ど同じだ。ニコラスは序所にラップを上げて
 他を引き離しにかかった。かなり ”乗って来た!” って感じ。
 非常に安定して且つ速い。今までには見た事が無い走りだ。
 レイアウトとしては、高速、から急減速、フルターンが多く
 かなり正確な走行が要求される。ニコラスにはちょっと苦手な
 コースだと思っていたが、コーナーも綺麗にインを付き無駄が
 無い。みていても不安は無い。

 逆に後続の選手が焦りミスをする様になった。後半は殆ど独走
 状態となり、トップゴール。これは文句のないレースだった。
 他の選手達もびっくりしたようだ。

 最終4ラウンド今までの流れからするとほぼTQは取れるだろう。
 後は決勝に備えて、相手を良く見てレースを進める事。
 注意しなければならないのは周回遅れの選手だ。
 今までのレースを見ていると一部の選手を除けば全体的には
 あまりレベルが高いとは言えない。予選でもかなりの周回遅れを
 抜かなければならず、危ない場面も多くあった。

 このラウンドでもラップタイムをさらに更新してコースレコードを
 出してトップゴールTQを獲得した。
 ニコラスが一人で参加したレース等では数回あるが、私達が
 コンビを組んで始めての快挙である。このまま優勝へ持って行き
 たい。
 
 大して大きな意味は無いが、初めての事なので決勝レースでの
 作戦を立ててみよう。

 予選開始
 

 グリップも非常に高くなってくる。
 

 ニコラスのピット
 

 私のピット
 

 立派なトロフィ、狙うはやはり1番...
 

 初めての事なので、ちょっと作戦を立てよう!
 

 
 決勝レース。勿論グリッドスタートとなるが、スタートして直ぐに
 かなりきついコーナーとなる。ここでは多くのクラッシュが予想
 される。 まず大切な事は絶対にオーバーランをしない事、
 ここで後続車にインに入られれば大変危険となる。
 特にスタート直後のフルブレーキは非常に難しい。少し早く 
 ブレーキングをしてきっちりとインを詰める事。そして次のコーナー
 もフルターンとなる為に、ここもインをしっかりと詰める事。
 この2箇所を上手く通過出来れば、あとは綺麗な隊列となる
 だろう。まずはこの2箇所に全神経を集中させる事だ。
 ここを上手くのりきれれば、80%位の確立で勝てると思う。

 決勝1ラウンド
 うまいスタートを切った。グリッド間の距離もかなり長い為に
 後続車との接触も無く1コーナーを通過、やはり後続車が
 1コーナーでクラッシュをする。早くも少しの間隔が空き、ちょっと
 楽な展開となる。しかし2位、3位とは大きな差は無いワンミス
 で直ぐに追いつかれる距離だ。前半は大きな波乱も無く綺麗な
 隊列でレースが進む。中盤になると周回遅れが出てくる、これが
 大きな問題となる。ニコラスはパスはあまり上手く無い、また他の
 選手も抜かれるのも上手く無い為に、接触が多く見られる。
 
 中半はかなりのアドバンテージを持って走行しているが、周回
 遅れを抜く度に少しラップを落とし、後続車に距離を詰められ
 たり、小さな接触等がありヒヤッとさせられる。しかし追う方も同じで
 周回遅れのパスで失敗する事もある。3分を過ぎると追っ手の
 タイムが少しづつ落ちて来て差が開いてくる。ニコラスは殆どラップ
 タイムは変わらない。4分を過ぎるとほぼ半周近くの差になって
 いた、これはもう殆ど安全圏となる。少しペースを落とせば良い
 のだが...ニコラスは全く変わらないペースで走行。
 そのままトップゴールとなり、優勝に王手をかけた。
 レース後ニコラスは少し微笑んでいたが、かなり緊張している
 様子だった。

 決勝2ラウンド
 勿論、これを取れば優勝は確定するのだが、これがまた非常に
 難しい。多くの選手が2ラウンドで失敗する。やはりプレッシャー
 なのか?ここもやはり1ラウンドと同じ様に、スタート、1コーナは
 最大の注意を払い、ミスをしない様にする。
 そして前半はあまり無理をしないで、後ろを見ながら少しだけ
 リードを取っていれば、後半は楽な展開となる。
 
 レースがスタート、今回は綺麗なスタートで順位順に綺麗な隊列
 が出来る。やはり最後に掛ける後続車は、ピッタリとニコラスを
 マークして迫ってくる。ニコラスも必死で逃げるが殆ど差は開か
 ない。部分的にニコラスの速い所や後続の速い所があり、差が
 開いたり縮まったりはするが、殆ど変わらない。
 
 やがて、また周回遅れが出てくると、またその差が大きくなったり
 するが、大勢には変化が無い、そして後半に入ると、またその差
 が少しづつ開いて来る。これはおそらくバッテリーの性格の差では
 無いかと思う。前半は他車の方がパワーがあり、トップスピードも
 若干速いように感じるが後半は逆転する。
 
 4分を過ぎるとまた後続車が殆ど見えなくなり、独走状態となる。
 結局は約10秒近い差をつけてトップゴール。
 私達がコンビを組んでの初めての優勝である。さすがにニコラスも
 嬉しそうに喜んだ。大きなレースでは無いがこの様な勝ちを得て
 行く事は将来に繋がって行く。その時の気持ちの持ち方やレース
 の進め方はレースの大小に拘わらず大切な事だと思う。

 決勝3ラウンド
 優勝が決った3ラウンドは気分的には非常に楽に出来る。
 ニコラスに取ってはまた、違った意味での練習となる。
 ここでも1、2と同じ様な展開となったが、途中で周回遅れと
 接触、コースアウトとなり大きく順位を落としてしまった。しかし
 それからの追い上げは素晴らしい。どんどんと順位を上げて、
 3番手、2番手と接戦をして、トップに立ち、皆を驚かせた。
 そしてまた後半は独走状態となり、これもトップゴールとなり完全
 優勝となった。

 今回のレースでは、今までに無く安定して、また落ち着いて
 レースが出来たと思う。結果だけみれば、かなりレースのレベル
 は低い様に思えるが決してそんな事は無く、トップクラスの選手
 達の実力は決して低くは無くかなりのものだと思う
 今回はニコラスが少し出来過ぎていた様に思える。ミスも殆ど
 無く、正確なライン取り等は、技術の進歩と捉えたいと思う。
 この辺りは、又次回のレース参加で本当の実力が分かるだろう。

 レースが一日繰り上がった為に、翌日にはもう一度復習の意味
 でコースを借りて練習走行やテストをして、マニラでのレース参加
 を終了しました。
 
 終わり。

 高級車にての送迎にご満悦。
 

 トラックオーナーのJP氏とメカニック
 

 レースミーティング
 

 一生懸命整備してます!
 

 レース後には、ちょっとアドバイス等...
 

 良い思い出となるでしょう...