廣坂 物語


 廣坂 正明 及び 正美 の生い立ち、歴史を記録します。

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   Vol−41

  1991年 
オフロード 世界選手権  8月5〜11日
 






 アメリカ デトロイトでのオフロード世界選手権、これまで世界選手権4連勝を
 してきた我々にとって、さらに記録を伸ばすべく意気込んで乗り込んだレース。
 マシンは、今回はすでに販売をしている、ワークス’91を使用する事となった。

 また2WDクラスは、前回同様アソシエイテッドRC−10を使用するが、今回も
 89年プロトをさらに進化させたプロトマシンで、ステルスの為公開されず、取材
 禁止となった。

 今回の世界選手権も、ヨコモ+アソシ チーム 対 KYOSHO+ロッシ+トリ
 ニティ チームの2大勢力が大勢を占める戦いとなった。

 今大会の大きな変化は、決勝レースが従来のタイムでの集計では無く、
 ポイントとなる事だった。すなわち決勝3ラウンドの上位2ラウンドの着順
 ポイントで総合順位が決定される。

 それと従来はレースは2WDから開始されたが、今回からは4WDから始まる。
 理由はアメリカでは2WDの方が人気がある為に、最終日のレースが2WDの
 決勝となる様に4WDより開始された。

 また今大会は様々な大きな問題が起こったレースだった。







    

  

  

  

  

  

 


  



  

  

  

  



  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  



 

  4WD クラス リザルト
 

  2WD クラス リザルト
 




  




  

  



  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

 

  

  





  

 



  

  

  

  

  



 このレースはアメリカでの戦いという事で、またこの世界選手権での結果が今後
 の売り上げにも大きく影響する事が予想され、各チームの力の入れ方は異常
 とも言える状態で、レースも加熱し多くの問題が起こった。

 特にアソシ、トリニティの両チーム激突は、特筆すべきものであった。レース前
 より、異様な雰囲気を漂わせていた。夫々のチームは、専用ピットを持ち、
 チームメンバー以外は入れない様に制限をしていた。特にトリニティーチームは
 大型トレーラーハウスを置き入り口には専用のガードマンを置く徹底ぶりだった。
 両チームともニュープロトタイプの投入の為だった。

 そしてオフィシャルはメインスポンサーである、トリニティーの息が掛かったクラブ
 である為に、事前よりアソシチームより注意を促されていた。特に車検等が
 厳しく、下手をするとペナルティーを取られる事も予想される為に万全を期す様
 に指示をされていた。

 そしてレースが開始され、すぐにその不安が現実のものとなった。 4WDでの
 第1ラウンドで正美はトップタイムを叩きだしたが、他の有力チームメンバーは
 アソシのメンバーが多く、練習では2WDを主にセッティング等を行っていた為に
 4WDはレースが始まってから...と作戦をたてていた為に、少し出遅れた
 感があった。

 そして、1ラウンド終了時では、上位の大半はトリニティーメンバーが占める事
 となった。そうすると、その後は一切コース整備をしなくなってしまった。

 このコースは土も柔らかい為に、特に4WDが走行すると、かなり路面が荒れて
 しまう。その為に第2ラウンドからは全くタイムが出なくなってしまった。

 当然アソシチームはオガナイザーにクレームを付けたが、全く受け入れられない。
 レースはそのまま続行された。以後殆どの選手はタイムを更新する事が出来ず 一時はレースのボイコットまで提言する選手も出てきたが、それでは思う壺に
 なってしまう為に、そのまま続行された。

 そしてそんな中、頑張っていたクリフ・レット選手にも不幸が起こった。Aメインの
 記録を出していたが、ヒート終了後、トリニティーチームよりクレームが付いた。
 これはコースをショートカットした。というものだった。コーナーをジャンプして飛び
 超えたというのだ。当然コースを飛び越えればコースカットとなるのだが、この
 コーナーは大きなカーブで、少しインを付けば殆どの選手がカットとなってしまう
 様なポイントだった。しかしクリフのみが槍玉に上がってしまった。

 審判員にビデオ映像を提出されて、クリフは1周減算のペナルティを負う事と
 なった。しかしその後路面の荒れたコースで、気合の走行でタイムアップして
 Aメイン進出となった。

 そして何となく嫌な雰囲気の中での決勝レース。この時にはコースも整備され
 良い状態となったが、コース上も軽く散水されたのだが、なんとポールポジション
 のグリッド前だけには散水されなかった。当然路面は非常に乾燥している為に
 スタート後のグリップは非常に重要だ。特にオフロードのグリッド間隔は1.5m
 しか取られていない。まして今回は2、3番グリッドはライバルチームだ。

 勿論、私はオフィシャルのクレームをつけたが、もうすでにスタートのカウントダウン
 が始まっており、気持ちだけ散水をされた。

 この様な状況下で決勝レースが行われ、結果的には、クリフ選手、正美の
 1、2位フィニッシュとなった。 正美は第2ラウンド? トップを独走しゴール
 寸前の最後のジャンプで転倒。しかしかなりのアドバンテージがあった為に、
 大事には至らないと思っていたが、マーシャルが焦り、2度も転倒させてしまい、
 後続車に抜かれてしまう、ハプニングがあった。 このマーシャルは、味方チーム
 であったが、早く救助しようと焦り過ぎた様だ。

 そして、一日の休養を挟み、2WDのレースが開始。今までのいきさつから考え
 ると、多くの波乱が考えられた。

 この一日の休日の間、コースは綺麗に整備されていた。そして前回の件もある
 為に、皆第1ラウンドに全力を尽くすように、指示をされた。その結果多くの
 アソシチームが上位を占める結果となった。すると今度は前回と一転してコース
 整備を行うとの通達があった。なんと1ラウンドが終了してからの発表だった。

 勿論、多くの選手からクレームが出たが、全く受け入れられない。レースは続行
 された。しかし結果的には、ロッシーは一台(予選2位)しか残す事が出来な
 かった。

 また、このレースでもクリフ選手に不幸が起こった。彼は順当にAメインのタイムを
 出し、決勝進出は確実視されていたが、マーシャルの点呼の時に所定の場所
 に居なかったとの事で、ベスト記録を抹消されてしまい。Aメインより脱落して
 しまった。 この時は私も見ていたが、彼はマーシャルには着いていたが、丸い
 円を描かれている中に待機しなければいけないのだが、50cm程離れた所に
 立っていた。

 2WDでは、正美は少し出遅れたが、コース整備が4WDとは全く逆で3ヒート
 毎に整備され、どんどんと良くなっていった為に、最後で逆転TQを取る事が
 出来た。

 色々と波乱の多いレースだったが、最終的には、我々ヨコモ、アソシチームが、
 両クラス、1、2フィニッシュを獲得する事が出来た、

 正美は連続優勝は逃したが、TQはこれで連続6回の獲得の記録を打ち
 たてた。
 
 レースが終わり表彰式、バンケット。トリニティ社長とアソシ社長、レースでの
 争いが嘘の様に、陽気に話合っていたのが、不思議だった。これがアメリカ人
 気質なのか? 私には理解出来ない事だった。 また、この人達を本当に
 敵に回したら、レースでは絶対に勝てない。 と思った。

 トリニティー社長、アーニ・プロベティ氏...バンケット終了後、にっこり笑って、
 今度はトリニティでやろうよ!


    





    

    



    

 

   



   


    











    






    


  




    





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