廣坂 物語


 廣坂 正明 及び 正美 の生い立ち、歴史を記録します。

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   Vol−56

 1994年 リーディレース USA

   

     

 





  

 

   

   

   

   

   

   




 



  

    

    

    

   



 
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1994年 オンロード世界選手権に向って。

 

 昨年のオフロードでは予想以上の成果をあげる事が出来、ニューマシンも
 YZ−10として発売する事となった。 世界選手権に使用したマシンは
 世界チャンピオンレプリカとして販売し、量産タイプは少し改良し従来より、
 ワークス’93は壊れやすいという評判があった為に各部を強化し、樹脂も
 割れることが非常に少ない、ナイロンを使用する事とした。

 レース後色々と試行錯誤し、またテストを繰りかえした。 今回のテーマは
 丈夫である事、そしてメンテの容易さである。高低差が3m位あるところからの
 落下テストや、ブロックに全速で激突させるテストを繰りかえし。 何とか満足
 出来る強度を得る事が出来、量産品として販売に漕ぎ着ける事が出来た。

 その後、ユーザー達には強度や性能的にも良い評価を得る事が出来たが、
 意外な所で不評を得る事となった。 それは販売店よりの苦情だった。
 YZ−10は丈夫で良く走るが、壊れない為にパーツが売れない。 と言う事
 だった。 これは私には不本意だった。しかし仕方無く、今度は強度を落とす
 方向へ改造する事となった。アーム等は軽量と称して、穴を開けたり...

 レースに勝つマシンを作るのは、差ほど難しくは無いが、市販車の難しさを
 改めて知らされた。


 そして、今年の世界選手権はオンロード。 最近はツーリングのYR−4も発売
 し好評を得る事は出来ていたが、ツーリングカーは、レースと言うより、ビギナー
 向けのカテゴリーとして定着を始めた。 多くのメーカーも参入を始めたが
 殆どのメーカーは既成のパーツを流用したもので、規格もバラバラだった。

 私は兼ねてより、レーシングカーの製作を望んでいたが、アソシとの協定もあり
 色々なアイディアを出す事はあっても、自分で製作する事は出来なかった。
 
 世界選手権では、1/12は勿論、アソシで参加する事は既成の事実となって
 いた。世界選手権では、開始より負け知らずの連勝を続けているアソシにとって
 正美は、勿論メインのトップドライバーとなる。 そこで私は最近人気が出て
 来た、1/10のレーシング(PRO−10)なら、作れるかも知れない? と
 考えた。

 勿論、一番の障害はアソシとの協定だ。 オフロードでは、2WDはアソシ、
 そして4WDはヨコモとお互いのドライバーをサポートする。そしてオンロードは
 1/12は勿論、アソシだが、1/10は、まだ始まったばかりで、今年はアソシも
 正美に世界選手権にアソシで参加する様に依頼があった。1/10は前回は
 第1回でアメリカで開催され、トリニティーのジョンソン選手が優勝している。

 そして今年は第2回という事で、アソシにとっても反撃をしたいところだろう。
 私は、駄目元でリーディ氏に相談をした。勿論1/12はアソシで参加するが
 1/10は、ヨコモで私がマシンを作り参加したいと思っているが、アソシは容認
 して貰えるだろうか? と尋ねた。 リーディ氏は、これは自分では判断が出来
 ない為に、社長のジーン氏とロジャー氏に相談をすると言ってくれた。

 そして、リーディーレースの日、社長のジーン氏より、私に話しがあった。 
 貴方達は、これまでアソシに対して本当に良くつくしてくれ、また実績も上げて
 くれた。 これには十分な感謝をしている。そしてパパの開発力も素晴らしいと
 認める。 1/10は、まだ始まったばかりで、今後どのように進んでいくか?
 分からない。まだメーカーも少なく、ヨコモも独自で参加する事は今後の発展
 にも繋がる事になる。

 アソシとしては、ライバルとして戦う事となるが、リーディー氏を含めて出来る限り
 のサポートをする。 と言って頂いた。 そして条件としては、アソシのメンバーは
 使用させない。という事。 もちろん、私達もやるのであれば、正美一人だけで
 挑戦する。と約束した。

 私はこの話は無理だと思っていたが、さすがアソシ懐の大きさには感激をした。

 そして早速ニューマシンの構想に取り掛かった。勿論、以前よりいつかチャンス
 がくるかも知れないと、1/12カーの構想も常に持っていた。1/10は1/12
 比べて、大きい為にかなりの制限が解かれる。

 現在では、チャンピオンのトリニティー、そしてアソシ、コラリー等が主なマシンだが
 私の様な後発だとコピーの様なものは作れない。 全く違ったシステムで挑戦
 しなければ意味が無い。 期間はほぼ半年しかない。

 1/10は、ダイレクトドライブの2WDと規制がある為に、構造は大変シンプル
 で部品点数も少ないが、我々は今までには何も無い為に、使用出来る部品
 は何も無く、すべてのパーツを一から製作しなくてはならない。 

 時間的な問題もあり、成型パーツ等は使用出来ない、すべ加工パーツでまた、
 自作しなければならないパーツも大変多くある。

 とりあえずは従来より使用している、アソシのRC10Lをサンプルとして、これの
 欠点等を洗い直し、また一部を改造する所から開始した。 現存のマシンは
 殆どが振り分けタイプのバッテリーを使用して、リアサスはTバーを使用した
 いわゆる、3Pサスのシステムを採用している。一番無難な方法だが、これでは
 シャーシの形状は制限されて殆ど同じ様な形状となってしまう。

 その為に、以前サクラの時代に1/12で採用した、アルフ−9のいわゆる
 リンク式のサスを考えた。これだとバッテリーは、縦一列となり見た目は大きく
 変る。 しかしリンク式だと、調整が非常に微妙で、またクラッシュ時の狂いも
 問題となる。その為に、リンクの代わりに、ファイバーでTバーの変わりにバッテー
 の周りを包むような形状のU型の板でサス機能を持たせるシステムを採用し
 これを、Uバーと名づけた。

 リアーの方式は、これに決定し、様々なUバーの形状また厚みや材質を用意
 する事で性格を変える事が出来ると考えた。

 そして、次はフロントサスペンションである。これはアソシやトリニティーが採用して
 いる、サスシステムがかなり良いとは考えたが、これも同じものを採用するのも
 私のプライドが許さない、また成型パーツを作る事も出来ない。 そこで考え
 たのが、ファイバー板で、サスアームを製作する、いわゆるスイングアーム方式を
 採用。これだとマウントの位置高さやサス形状等で簡単に、キャスター、
 キャンバー等を変える事が可能だと考えた。

 こうして、基本のシステムを決定し、それからは、シャシーや、Uバー、フロント
 サス等はグラスファイバーの手切りで、何種類も製作し走行テストを繰り返
 した。 テストには対抗車として、アソシの10Lを使用したが、なかなかこれを
 上回る事が出来なかった。

 春より、試作、そしてテストの繰り返しで、煮詰めて言ったが、なかなか思う
 様にな進行しなかった。そしてまず一番問題はテストをするコースが近くでは
 無く、浜北ホビーサーキットまで通う事も多かった。

 どんどんと日が過ぎ、レースが近づいてくるにも拘わらず、思うように進展せず
 焦りも出てきた。そして時にはこのプロジェクトの実行を後悔する事もあった。

 そこで私は、自分自身を発奮させる為に、これまで極秘で進めて来た。開発を
 オープンにして、もう後へは引けない体勢に持って行く為に、静岡でのホビー
 ショーで、プロタイプを公表し、世界選手権への挑戦を公示した。

 そして大胆にも優勝すると宣言した。 勿論、世界選手権の優勝等公言
 出来るものでは無いが、私自身はこれに今までのすべてを賭けて、もし負け
 れば、もう引退をする覚悟だった。

 そして丁度そのこ頃、これらのニュースを聞いて、話を持って来てくれたのが、
 ビデオだった。 ラジコンのビデオを製作したい。との申し出があった。
 それまではフィッシングのビデオを製作販売していたが、ラジコンにも進出したい
 との事だった。それでは、開発より、ドキュメントで世界選手権まで追ってみては
 どうか? という事でテスト時から、密着取材をし、最終的には世界選手権に
 同行し、収録することを提案した。

 正美はこの企画に反対した。 もし勝てなかったらどうするの? 私は、いいよ
 全ての責任は自分で取る! と押し通した。 正美も私の熱意に押されたのか
 その後、反対する事は無く、全面協力してくれた。

 これによりさらに、我々にはプレッシャーがかかり、もう後には引けなくなった。
 もし失敗したら? それは考えないことにしよう! 自分に言い聞かせた。

 何枚ものシャーシ、サス等を切り、少しずつマシンを煮詰めていった。そして6月
 には世界選手権が行われる、ドイツのサンネバーグでのコースでプレワールドが
 行われる。 これに参加する事とし、連日テストを繰り返した。。


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